2022/11/11
外谷さんブデブデ日記(52)
外谷さんと電話。「昨日、スペツナズの工作員が襲撃してきたわよ。みんな撃退してやったけど」
と笑う。
なんか悪い予感がしたが、
「どうやった?」
「最初の奴は押し売りに化けて、昨日ケームショから出てきたばかりだで、ゴム紐買ってくんろ、ってすごむのだ。これは絞首刑を狙ってるなと思って、先に絞めてやったら、人殺しーって逃げてったわ、ムハハハハ」
「えらく訛りのある工作員だな。他にも来たのか?」
「二人めは新聞の勧誘員よ。半年取ってくれたら、これサービスしますって、液体洗剤出したから、中身は毒薬だなと、蓋開けさせて、ぶっかけてやったら、こいつも、悪魔がいるーって豚走しちゃったわ」
「豚走じゃねー。遁走だ」
「あら。でもさ、さすがオスペね、手がこんでるわ」
「スペツナズだ」
と訂正してから、
「いいか、スペツナズと云うのは、ロシアの情報局KGBの暗殺部隊ーつまり国家機関だ」
「ハイハイ」
「ハイハイじゃねえ。国立の組織が、何でお前ごときを暗殺するために、ゴム紐売りや新聞の勧誘員に化ける必要があるんだ?お前が外出した時に、そのデカいケツに放射性物質の欠片でも撃ち込めば、1時間後には肉屋に売り飛ばされてるだろうが」
この意見には無理があると思いつつ、喚き散らした。
「彼らの荷物はどうした?ゴム紐と洗剤はどうなった」
「空を見て。鳥だわ、ジェット機よ。あ!ー」
「スーパーマンだ!じゃねえ。言ってやろう。お前は、いい儲け話が飛び込んできたと舌舐めずりをした。そして、二人を追い出し、商品をコンビニか雑貨屋に売り飛ばして、懐の肥やしにしたのだ。この肥やし女」
「ほ、他の言い方無いの?」
「うるさい。押し売りも勧誘員も普通の人たちだ。恥を知れ」
「ふん」
外谷さんはそっぽを向いたと思うが、受話器のむこうだから、良くわからない。しかし、正義の糾弾は続けなければならない。
「お前は横浜の恥だ、日本の屑だ、太陽系のゴミだ。宇宙のぶうぶうクッションだ!」
「なにをーっ!ズルむけ赤ちんこ」
かくして、私は心に深い傷を負い電話を切ったのである。
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2022/11/11 23:38 by 陸理明 URL 編集