2023/02/20
外谷さんブデブデ日記(60)
松本零士氏が亡くなった。85歳。出世作は?少年マガジン?連載の「男おいどん」。あまりにも不潔な下宿暮らしのため、サルマタケなるキノコが群生する部屋に暮らす若者を描いた青春マンガであり、クラブ仲間の間では、外谷さんの(後の)亭主と顔も生活も瓜二つだと評判であった。後に「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」の絢爛たる成功で日本漫画界のレジェンドななったが、私の記憶に鮮明なのは、松本あきら(明?)時代の作品である。「ララミー牧場」という大ヒットTV西部劇のコミカライズの面白かったこと。この人は大漫画家になると一発で分かったものである。ドギュウム、ドギュンという拳銃の発射音は、松本氏が発明したものだ。ちなみに前述の「ララミー牧場」のTV映画の人気がどれほどの物だったかというと、主人公の一人流れ者のジェス・ハーパーを演じたロバート・フラーが来日した際、羽田空港には10万人の少年ファンが押し寄せた。あまりの人気に、当時の内閣総理大臣-池田勇人はフラーと歓談の席を設けた。ちなみに、ビートルズ来日時のファンは3万人。席も無しである。一方でこの当時の漫画界では珍しくないが、松本氏は少女コミックも手掛けていた。この資質はあのメーテルに象徴される。面白いのは、氏のSF嗜好はこの少女コミックの方に出ていることで、悪党を動物に変えてしまう指輪の持ち主は娘を探しに来たエイリアンだったりする。これは少年漫画だったかも知れないが、あの南極越冬隊が置き去りにした犬たちが、南極の地下に超文明を築いて人類に復讐するという?あまりにも大胆な(アンチョクだという言葉も出てこない)な設定の物語もあって、私は声を失った。松本氏の作品を求めたのが、少女コミック開眼のきっかけだったのかも知れない。当時少女コミックも手掛けていたもうひとりの天才がちばてつや氏であった。この分野の大先達たる手塚治虫、横山光輝両氏のことはいずれまた。
これは正しくイカれた妄想なのだが、松本氏にはウィリアム・ホープ・ホジスンの「異次元を覗く家」を描いて欲しかった。
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