no title

陸様

ありがとうございます。頑張りまっせヽ( `皿´ )ノ。

菊地秀行( ̄0 ̄)/

no title

外谷さんブデブデ日記(35
)
2021 8/4 01:01

またハワイからメール。動物園での外谷さん人気に目をつけた不良輸入業者が、深夜、外谷さん誘拐を実行に移したらしい。外谷さんは、
「美しい私に何すんのよ」
と、反撃。ゾウ狩り用の麻酔弾を撃ち込まれながらも、全員をKOしてのけたという。
一方、業者の言い分では、内々にトレード話は進んでいたのに、いざトレーラーに積み込む段になって、外谷さんが約束の10倍の契約金を要求。ラントーが勃発したとの事で、動物園側と司法当局が、解明に当たっている。
大方の予想では、理は業者側にあるが、勝つのは外谷さんと見られている。
あいも変わらず。やれやれヽ( `皿´ )ノ。

池波正太郎氏の「剣客商売」 
に、主人公に稽古を付けて欲しかったら、鉄環を嵌め込んだ15キロの樫の木刀を2000回振れるようになれ、との描写があり、我が家には5キロの鉄棒があった。単純計算だと6000回である。いくらなんでも無理だ。で、何度かに分けて1日100回を目標とした。最初の12回で背筋がダウン。寝込んでいる。

no title

外谷さんブデブデ日記(34)
2021 7/26(月)0:30

外谷さんより久方ぶりにメール。あまりにハワイの動物園の住み心地がよろしく、急速に野生化が進んで、打ち方を忘れていたらしい。
「あたしが出れば、重量級は総なめよ」
とある。オリンピックだ。ま、ハワイの動物園までは無理だったろうが、国の威信を懸けるには、JOCは目配りが足りなかったといえる。柔道、空手、ボクシング、相撲と道路工事まで、暴力沙汰なら外谷さんではないか。

ある理由により、散歩に出る。暑い、というより熱い。30分しか持たなかった。スイカが食べたい。又聞きだが、外谷さんは毎日十個単位でもらっているという。いいなあ。
夜、井上雅彦氏と電話。「事件記者コルチャック」や「ボナンザ」「ミステリー・ゾーン」「吸血怪獣ヒルゴンの猛襲」等の話でもりあがる。テレビ・ウェスタンも少々。「大草原の小さな家」のお父さん=マイケル・ランドンが大牧場主の三男を演じた「ボナンザ」の一話に、イエス・キリストが出てくる奇譚があったなんて、古いウェスタン・ファンでも記憶にあるまい。お陰で少し気分が良くなる。こういう映画を知ってる連中と、夜を徹してしゃべくり合いたいものだが。「大アマゾンの半魚人」の隠し味ー「使用されないライフル」等についても語ってみたいなあ。ちなみに昔、モンスター映画辞典みたいな本でこれを引いたら、いくら調べてもあたらない。まさかと思ったら、「おおアマゾンの半魚人」で載っていた。ため息の後で、翻訳執筆校正編集製作営業全員を殺害したくなった。
「あなたと温泉に行ったら」を見て寝ようっと。
ところで外谷さんは、今日も元気であった。パチパチ。

no title

ハリウッド最新作「KINGKONGvs.GODZILLA」
を見た。前作より遥かに面白い。アメリカの映画人はゴジラ以外の日本怪獣には興味がないらしいが、今回はアメリカン・モンスターの代表が出ているから、力が入っている。SFXも大したものだ。
ところが、目下CS放送中の東宝の「怪獣大戦争」の方がずーっと血湧き肉躍るのだ。怪獣というファンタジーはやはり子供の胸ときめかせる幼さが必要なのかもしれない。

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外谷さんブデブデ日記(32)
2021 5/27(木) 1:13

外谷さんからの連絡が絶えてから随分になる。寂しいなあ。しかし、台風や洪水、地震だ津波だとなる度に懐かしく思い出すのは、何故だろう?

『ヲタクに恋は難しい』を見ているうちに、ある疑問が湧き、ぎょっとしてチェックしてみたら、とんでもないミスに気づいた。ヤッベ〜。私はこの映画が大層気に入っており、前回「主演の菜々緒が素晴らしい」と賞賛したのだが、実はそのときから小指の爪の先ほど引っ掛かっていたのである。菜々緒とはあんなとぼけた顔であったかと。今日送られてきた週刊誌に載っていた彼女の顔を見て、真相は明らかになった。有り体に言うと、私が菜々緒だと思っていたヒロインを演じたのは、高畑充希なる女優だったのである。菜々緒のわけないよね。しかし、彼女が素晴らしいことに変わりはない。映画もかなり叩かれているが、私には大傑作であった。
あと2本、やった?の傑作があり、『うさぎドロップ』と『ヒメアノ〜ル』。前者は父が死んで、親戚中からそっぽをむかれた6歳の少女を演じる芦田愛菜の上手いこと。このときの彼女は天才であった。自分が除け者にされていると知り尽くしながら、父が愛した庭の花を摘んでいる孤独な少女が、たった一人「俺んちへ来るか?」と声をかけてくれた松山ケンイチの上着の裾を、しっかりと、必死に掴むシーン。保育園に預けられ、また置き去りの状態で花をいじっているところへ、ヒイヒイ言いながら迎えに来た松山ケンイチを見つめる顔が次第に信頼に満ちてくる場面。うおおおお。今の芦田愛菜にこの無垢の可憐さはないが、サンドイッチマンと絡むTVを見ていると、大概不遇に終わる天才子役の宿命を彼女だけは免れているようだ。拍手拍手拍手。
後者は、我がご贔屓佐津川愛美がヒロインを演じる『ヒメアノ〜ル』。吉田剛の殺人鬼ばかりが有名だが、天才濱田岳を向こうに回して少しも影に包まれない佐津川愛美の存在感も呆気に取られるばかり。単なる純情派ではなく、濱田の同僚が自分を恋していると百も承知で、「二人で内緒にしてれば、分かりませんよ」とそそのかす場面の小悪魔ぶりなど、いーぞいーぞのけぞるしかない。
このあとの『貞子対枷椰子』でも自己チューな女子大生を巧みに演じていた。主演の柄ではないが、文句のつけようのない名脇役として成長していくだろう。

ところで外谷さんは今日も元気だろうか?

no title

では。次だじょー。

吸血鬼の棺に拳銃を撃ち込んでから蓋を開けると、
「私はもう天国へ行ってしまいましたから、安心してください」
という紙切れが1枚入っているだけという人を食った漫画がある。タイトルと作者を当てよ。
締め切りは12日(水)一杯。賞品はいつもと同じDVD。

さあどうだ?

no title

また挑戦だじょ。

吸血鬼の退治法は色々あるが、豪快にもバズーカ砲でふっ飛ばす漫画がある。この作品のタイトルと漫画家を当ててみな。賞品付きます。秘蔵映画の5本入りDVD。
締め切りは明日9日23:59。ごおおおお〜っ

no title

ヨシツゴ様

お見事。「赤い海」タイトルも忘れておりました。「グレイランサー」から私の著書を1年間お送り致します。またクイズやります。その節もよろしくー( ̄0 ̄)/。

菊地秀行( ̄0 ̄)/

no title

ヨシツゴ様

そうか、今は全集や傑作集があるのだな。世間知らずでした(笑)。ちなみにつのだ氏の「赤い海」はどんな話でした? いや雑誌掲載のを見たきりで、ラスト以外覚えていないのです。

no title

これわかります?

べレスフォードの「人間嫌い」をパクった漫画家は?
もうひとつ。ジェローム・ビクスビイの「血をわけたなか」のラストのみパクった漫画家は?

賞品は私の著書1年分。はっきり申し上げて、執筆者と担当者くらいにしかわかるまい。締め切りは今週(金)23:59。

no title

クイズの正解は石森章太郎。『悪夢の兄弟』は、未知の宇宙で遭遇する恐怖を乗り越えるべく、奇怪なテストを受けるスペースマンの物語ですが、アラン・E・ナース『ブレード・ランナー』のネーミングといい、日本では知名度の低い割にいい仕事してますねえ。

陸さんおめでとう。DVDお送りします。少しお待ちください。

菊地秀行( ̄0 ̄)

no title

雪辱戦こちらに書くのを忘れてました。

アラン・E・ナースの『悪夢の兄弟』パクった漫画家は誰でしょう?

締め切りは明日22(木)23:59。
ファイとお〜っ?

no title

またまた続き。

ところでーー外谷さんは今日も元気だろうか?

no title

外谷さんブデブデ日記(31 )の続き

クイズに解答なし。残念でした。

答えは『週刊少年マガジン』

漫画誌⇒月刊誌という先入観が働きませんでしたか?

では、また。

no title

外谷さんブデブデ日記(31)
2021 4/19(月)

6:27起床。外谷さんいない。寂しいなあ。絶交状以来、ハワイからの連絡も絶えてるし、幸せに暮らしているのだろうか?
クイズ今日が締め切りです。みなさんの奮闘を期待しておりますよー。
ある連載を開始するのだが、下準備に追われております。コミックなら先達がいるかもしれないが、小説では日本初の試みですよー。ま、こんなこと考えても書く奴はいまいが。
100字ラブストも掲載は32話までですが、執筆は70突破。じき目標の100超えですな。だからどうした? とゆー話ですが。
正直に言うと、私は作家になりたくはあったが、なるならショートショート作家だと思っていた。理由はご存じの通り、ラクチンそうだったのとアイディアを活かせそうだったからである。もちろん星新一さんの影響もあったが、その前に、フレドリック・ブラウンがいた。東京創元社の記念すべきSF第1弾は彼のショートショート集『未来世界から来た男』だったのである。このセレクトは見事な英断であった。どれを読んでも短く面白い。何よりも自分にも書けそうだ。出版社があるジャンルに乗り出すとき、最も大切なのはこれである。長編はしんどい。短編もぎりぎり。そんな現実を創元とブラウンはあっさりと放り投げ、君だって書けるさと、テキストまで提供してくれたのである。早川SFのブラッドベリ、創元のブラウン。日本にSFが根付いたかどうか、私には正直分からないが、日本人の感性にピタリと合ったのがこの二人なのは間違いない。ヤングの『たんぽぽ娘』とゴドウィンの『冷たい方程式』がいまなお日本人読者に読み継がれているのは、二人の末裔だからである。
因みに私のブラウン発見参は小学生の頃で、何とコミック版『発狂した宇宙』。初耳の方も多いだろうが、当時の著作権なんてこんなものだったのである。元は元元社版だろう。アメリカの荒野を疾走中の若者と車の上に、軌道を外れたロケットが墜ちてきてーと原作に忠実な始まりから、若者がロケットを買い込んでエイリアンのUFOに突っ込むまでこれも原作どおり。ただし、アメリカ式のハッピーエンド(捻りは加えてあるが)に対して、もとの世界に帰れたかどうかは謎のままという、日本人好みのラストであった。ブラウンもSFも知らぬ小学生の身には、ひたすら途轍もなく面白い漫画体験でありました。ブラウン作と知ったのはいつか、今ではわからない。あのタイトルも不明の単行本、まだ古書市場に出回っているといいのだが。
ともかく私はブラウンによってショートショートを書きはじめ、今もショートショートを書いて暮らして行きたいと思っている。ま無理だろうが。

no title

忘れてました。第3弾にも賞品が出ます。1名に新刊1年分をお送りしまーす。

no title

ミスった。クイズ第3弾の締め切りは

19(月)の23時59分

であります。失礼しましたー( ̄^ ̄)。

no title

続きー。リクェストに応じてクイズの第3弾てある。
S・H・アダムスの「テーブルを前にした死骸」の続きを書いた日本人作家がおる。その掲載誌を当てい。実は作者名もタイトルも記憶に無いのだ。締め切りは19日(日)23時59分。正解待っとるでー。

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外谷さんブデブデ日記(30)
2021 4/16(木) 0時20分

外谷さんいない。寂しいなあ。時々、屋根の上で大きな動物がゴロゴロしてるような音がするけど、気のせいかなあ? 朝起きると冷蔵庫の野菜や果物が消えてるけど、あれは誰のせいかなあ? でも、何だか嬉しいなあ。
クイズの第2弾正解者出ました。おめでとうございます。DVD送らせていただきます。
1.は水木しげる御大の「暑い日」。掲載紙は「ガロ」だったと思います。これは漫画を先に読み、後で原典をみて「やったな」と思いました。しかし、全くアクションのない、ある意味漫画向きとは言えない小説によくもチャレンジしたもんだ。「あとになって」とか「信号手」とかやって欲しかったなあ。

2.は解答不能。小学生の頃、銭湯にあった少女漫画誌で偶然読んだ。漫画家も誌名もタイトルも覚えておりません。第1問正解を以て拍手と致します。
山里の別荘地に住む父と姉と弟(原典では兄と妹)のもとへ、ある日、道に迷った美女が訪れる。この土地には白い巨狼の伝説があって、実はこの女は狼の化身なのである。まず原作どおり弟が殺され、女に疑いを持った姉と父が見張っていると、やって来た女が
墓を暴き始める。射殺!死んだのは白い狼であった。だが、狼に取り憑いていた魔性が現れ、呪いをかけられた父がは死ぬ。
原典だと逃亡した兄も虎に襲われてしまうのだが、いかに少年ものより残酷度オッケーの少女漫画でも、これはまずいだろうと、姉の友人が登場。
「貴女の持っている水晶の十字架で、一晩(だったかな)お祈りしなさい」
と、みもふたもない解決案を出して、姉は救われる。
姉がノックしたドアの向こうで、一瞬女が見せる悪鬼の表情が、小さなコマのせいで逆に怖かった。
次、やります?


no title

締め切りは18日(日)の23:59ですよー。解答待ってますねー。

no title

リベンジの申し出があったので、第2弾。

W・F・ハーヴィーの
「炎天」をパクった漫画家は?

更にこれは極め付き。
フレデリック・マリヤットの「人狼」をパクったのは?

後者は少女漫画であります。ただし、漫画家が女性とは限りません。多分、1回目よりキツいはずです。
最初のが簡単なので、解答はまとめて1本にさせて下さい。

no title

掲示板には解答を載せましたが、こちらにも。

1.吉田竜夫と『スーパージャイアンツ』

2.山川惣治

1.はタツノコプロの創始者が描いていたシリーズものの1本。中学の頃市営プールの帰りに、おでん屋で読み、変わった話だなあと驚いた。夜な夜な現れて、殺人を犯す化けカラスをスーパージャイアンツが退治するのだが、いやあ、合わない合わない。ジャイアンツはスーツにネクタイ姿で銀の弦を張ったギターを弾いて登場。最後は宇津井健のマント姿でカラスにギターをぶつけて撃墜する。確かに原作通りだが、ギャングやエイリアンならともかく怪物(原作では魔法使いの使い魔)相手だと、超人もこう行くかと驚いた。ドラキュラ対十字架みたいなものである。
正直、漫画が先か原作が先かは覚えていないが、原作の載ったアンソロ『宇宙の妖怪たち』は発売すぐに読んだから、ジャイアンツよりは早かったかも知れない。プールへ行かなければ目にしなかった訳で、皆さんが知らないのも無理はない。ほとんど嫌がらせに近い出題でした、スンマセン。
2.はご存じ『少年ケニア』の天才が書いた珍品。『ボーイズライフ』という、力の入った割に短命に終わった雑誌に載ったと記憶している。原作は地下一万メートルで作業中の工夫が、岩盤の中を泳ぐように歩く小人に遭遇する話だが、山川版では、ギャングが見世物に売ろうとして(時代ですな)、どちらも棒状の武器で頭や腕を吹き飛ばされてしまう。岩を水のように通過する超高密度の生物なので、蹴飛ばすと足の方が折れる描写が楽しかった。
『ボーイズライフ』は野心的な雑誌で、特集がスゴかった。世界のGUNの歴史(これでステン・ガンを知った)ならまだいいが、映画ではない「アラモ砦」を扱ったのにはぶったまげた。トラビス大佐の像が見られるとはね。早射ちVs.居合の実写対決 までやらかしてくれたのだ(結果は居合の完勝。拳銃を抜いたときには、もう鞘に戻っていた。これには死ぬかと思った)。さいとうたかお氏のOO7も連載されていた。相変わらずの浪速男熱血シリーズではあったが。

日記と掲示板にコメントを寄せてくださった方、ありがとうございます

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はーい。期限が切れました。正解者なし。残念。

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もう一本。ボール・エルンストの「小さな巨人」をパクったのは?但しこちらは絵物語。条件は「醜鳥」と同じ。どちらも正解で一番乗りの方には、別の5本を入れたDVDを加えます。

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外谷さんブデブデ日記(29)
2021 4/9(金)13:05

外谷さんいない。寂しいなあ。昨日、絶交メール来たしなあ。そんなにスゴいこと書いてないと思うけどなあ。拇印の代わりに足形っていうのもスゴいしなあ。悲しいなあ。

ここで意地悪を少し。H・P・ラヴクラフト「ダンウイッチの怪」、フランク・グルーバー「十三階の女」、ヘンリー・カットナー「住宅問題」、リチャード・マシスン「血の末裔」、H・G・ウェルズ「水晶の卵」ーこれなーんだ?実は水木氏がパクった作品名。ついでに、レイ・ブラッドベリ「ロボットの歌(脚本)」、アルフレッド・ベスター「虎よ虎よ」、レ=ファニュ「吸血鬼カーミラ」ーこれは?ご存じ石ノ森章太郎。

とどめに一発。マンリー・ウェイド・ウェルマン「醜鳥」。これパクったのだーれだ?
ヒントは映画のシリーズものの漫画化。お分かりの方は、そのシリーズのヒーロー名と漫画家の名前をFCの掲示板までメールしてください。期限は来週の12日(月)23:59まで。正解者1名に私が目下お気に入りのホラー映画を5本、ブルーレイ・ディスク1枚に納めてお送りいたします。先着順ですよー( ̄0 ̄)/。









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外谷さんブデブデ日記(28)
2021 4/8(木)21:15

外谷さんいない。寂しいなあ。ボクのアイはいつも届かないのかなあ。いつかわかってくれるかなあ?
「この大ボケヤロー」(外谷さん)
え?

貸本その7
その実業家の正体はウィアウルフー人狼だったのである。そして・・・わからない。この続きを私は読んでいないのである。次に出くわしたのは、『吸血鬼エリート』ー確か「銀座一の店で、日本一高いコーヒーを飲んでいる、世界一のいい男」(うろ覚え)という手紙を覚えている。いや、待てよ。悪党が上野から出る最終列車に乗ると、それが地獄行きだったという物語だったかもしれない。後年、『ゲゲゲの鬼太郎』でも同じ物語が使われたが、ギャングたちに、最終のあと「特別列車があるよ」と告げる鬼太郎駅長が、原典では骸骨なのだ。確か「葬式」「火葬」「骨壺」と変わる停車駅の描写が不気味で、乗客たちも骸骨に変わっていく。これがリアルでねえ。読者を別世界へ連れて行くだけでは気が済まず、現実も異界にしてしまえという水木しげるの執念の結実したカットだった。これを絵ではなく物語で見せたのが、私を唸らせたーつまり、私の根源たるテーマ“この世界にいるのは人間だけではない”ーと見事に一致した傑作『群衆の中に』である。
人間の中にいる異物というのは故西村寿行氏の描くところではあったが、あちらはあくまでも邪悪な人間、こちらは本物である。ある漫画家の作品が急に劣化する。心配した友人が飲みに誘うと、彼はとんでもないことを打ち明ける。この世には人間そっくりの異物たちがいて、かれの美人妻がその一人だというのだ。出版社の社長がモデルのお馴染みのユーモラスなキャラクターーでかい丸眼鏡に出っ歯のおっさんが、酔いに任せて、
「あんたは何も知らないんだ。世の中って恐ろしいもんですよ!」
とテーブルを叩くのが、不気味さをもり立てる。
やがて、金もないのに飲み過ぎた二人は逃げ出し、店の連中に追われてマンホールに逃げ込む。そこに待っていたのは妻の一族であった。「死刑」と宣言された夫は怪物どもに食われて、骨にされてしまう。ここの怖いこと。後に文庫版にも収録されたが、自主規制されたらしく 、手が加えられていた。人間金と地位が手に入るとロクなことがない。
生き残った友人は美人妻に脅され、彼女との結婚を強制される。
「逃げようとしても無駄よ。強力なあたしたちの一族が見張ってんのよ」
いるいる。電車の中に怪しいのが何人も。かくて、友人は女と結婚し、描く漫画が詰まらなくなっていく。あなたの妻ははたして普通の人間か?家族は?恋人は?隣人たちは?
おっかない話だ。

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外谷さんブデブデ日記(27)
2021 4/7(水)

9:10起床。外谷さんいない。寂しいなあ。サーカスにでも行ってみようかな。

貸本その6
訂正があります。いばら美喜氏の『7000度の男』は『焦熱地獄』が正式タイトル。30年近く前に出した『貸本怪談漫画傑作選/妖の巻』に収録済みでした。主人公が殺される訳も、ギャングたちの犯罪を知ってしまったからだと説明してありました。失礼しました。しかし、記憶にあるより無茶苦茶な漫画で、主人公は巨大な電磁石で身動きを封じられ、それがたまたまギャングのオフィスにあったとなると、これぞ漫画と笑うしかありません。後は大体記憶通り。
『貸本怪談漫画傑作選』を編んだ際、小島剛夕氏にインタビューさせていただいた。白土三平氏の話が出て、小島氏いわく
「大層純真な男で、タクシーが大嫌い。一度、だまくらかして無理矢理押し込み、発車させたら、ドアの開け方がわからないらしく、こっちを見ながら、リアウインドウを叩きまくってたよ」
なるほど、そういう人でなければ、あの漫画は書けんのだと、納得した覚えがある。
しかし、話してくれた小島氏も執筆の迫力では白土氏を遥かに凌駕し、白土氏によると
「一番スゴいときは両手に筆をもち、口にも一本咥えて、描きまくっていた。あれで少しも質が落ちない、絵も荒れないのだから、超人がいると思った」
そうである。執筆量は人の3倍。それを支えたのは子供の頃、400キロもの荷物をリヤカーで運んだ体力だったという。
小島氏のことは後に回して、水木しげる氏に移る。怪奇と幻想と妖怪の鬼才も、貸本時代は生活に窮しまくっていたというのは、氏自身のエッセイやテレビと映画の『ゲゲゲの女房』で皆さんご存じだろう。映画では『少年マガジン』の編集者が32ページの読みきりをと訪れたところで終るが、あれは『テレビくん』のことだろう。マガジンで読んだ私は正直、水木しげるも大手向きに自己変革したなとため息をついたものである。これで講談社の児童漫画賞を受賞した氏は、『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』等で、大手最大の怪奇幻想漫画家の道を歩んでいく。だが、貸本時代の不気味で残酷で陰惨でグロテスクで狂気と詩情に満ちた持ち味は、共に滅び去っていった。
『テレビくん』の受賞を知ったとき、驚きもした。これは水木しげる氏が私にとって忘れ難い作家であることを意味する。私は生来の臆病で、家から滅多に遠出しなかったが、小学四、五年のとき、友人の家へ行った折りに 、近くに貸本屋を見つけた。そこで読んだのが、”鬼太郎“の第1巻だったのである。人間の手で今日も仲間が殺されたという幽霊国の、悲哀に満ちた、しかし、幽暗のイメージ豊かな描写。一転、ある会社員が上司から、輸血用の血液に幽霊の血が混じっていたと知らされる現実社会の怪異。売り主はミイラ男であった。彼はすぐに死に、目の玉が流れ出て、地中に埋められた鬼太郎を救い、会社員が育てる羽目になる。鬼太郎親子の誕生であった。これだけでどんな形であれ、私は才能に気づいた。さらに親子との邂逅は続く。水木ファンならお馴染みの“水鬼”に追われた鬼太郎親子は、知り合った外国人実業家に訳を話すと、彼はいとも簡単に任せなさいと言う。少し画調がリアルだと馬鹿馬鹿しくなる場面だが、氏特有のとぼけた絵柄が全てをよしと納得させてしまう。敵味方全員が滲ませるこのホンワカしたユーモアこそ、水木しげる最大の武器である。
実業家はすぐ石油を満載した輸送機を飛ばし、空中の”水鬼“に浴びせかけてから点火。魔性を蒸発させてしまうのだ。どうです、このアッケラカンとしたやりたい放題。感謝する親子。ところがこの実業家の正体はーーというところで次回だよー( ̄0 ̄)/。またね。
ところでーー外谷さんは今日も元気だろうか?

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外谷さんブデブデ日記(26)
2021 4/6(火)

9時20分起床。外谷さんいない。寂しいなあ。ハワイで大規模な銀行強盗か大地震でも起きれば、ひと安心なのだが。

貸本その5

白土三平氏の忘れ難い二作のうち一本は、忍者にあらず武芸物である。一族(だったか?)をある武道家に殺された男が、その家族を皆殺しにすべく戦いを挑む。まず主を殺し、ついで長男。こちらも強いのだが、復讐鬼は普通の人間ではなかった。上半身が地面すれすれで、相手の脚を狙うのだ。余りにも低いため、長男は為す術もなく両足を切断され頭を割られてしまう。この現場を次男と通りすがりの武士が目撃するのだが、武士の名は宮本武蔵。平凡な作者ならここで武蔵が次男に秘策を授け〜という展開になるのだが、彼は「恐るべき相手だ。どう倒すか?」と呟きつつ、その場を去ってしまう。残された次男は半狂乱になりながらも、ある現象を目撃して焦眉を開く。
そして対決。脚への一撃を間一髪かわして跳躍した次男は、敵の背中に一刀を投げつけるのである。彼が目撃したのは、飛びかかる蛙の鼻先に小便を引っかけて急上昇する燕の姿だったのだ。やた!しかし、復讐鬼は苦痛に顔を歪めながら、ニヤリと笑う。彼の背は瘤だったのだ。かくして次男も虐殺され、ついに復讐鬼と武蔵の対決の時を迎える。
とある沼のほとりにある掘っ立て小屋に武蔵はいる。蛙の鳴き声がやかましい。復讐鬼がやって来る。声をかけると板戸が開いて武蔵が現れる。半身は板戸に隠れている。どんな秘剣をもって迎え撃つのか?自信満々の復讐鬼。次の瞬間、「勝負!」の叫びとともに繰り出された武蔵の剣!ーー否、それは槍であった。剣ならば不敗の復讐鬼もこれには堪らず、あっさりと首から肺を貫かれて倒される。小屋の後ろには夥しい蛙の死骸が転がっている。そこに武蔵の台詞が
「剣ではなかなか斬れない蛙も、槍なら簡単に殺せるということさ」
あくまでも剣に固執した次男と私は裏をかかれ、苦もなく剣を槍に変えた武蔵は生き残った。剣豪と白土三平は「発想の転換」の先祖だったのだ。
残る一本も時代物だがまるで作風が異なる。
これには度肝を抜かれた。抜かれないやつは脳味噌が抜かれているのだ。
ある暖かい昼下がり、黒装束の忍者が、野原に寝転んで、彼方の木を眺めている。一匹の小鳥が木の枝の上を歩いていく。枝は横8の字にねじれている。忍者は目を見張る。枝の上にいた小鳥が、いつの間にか枝の裏に移動しているではないか!?
ここまでなら現実にもある現象だし、SFファンならもう分かるだろう。木の枝はメビウスの輪を形成しているのだ。
普通ならこの忍者も漫画家も、ここでおしまいだろう。だが、白土三平は次を描く。SFじゃないんだよ。時代物だよ。忍者漫画だよ。暖かい昼下がりだよ。誰が木を切り倒して組み合わせ、でっかいメビウスをこしらえようと思うかね? 忍者がもうひとつの世界へ行こうと思うかね?
白土三平と忍者はそれをやる。そしてあと一息というところで、鋭い枝の先が忍者の胸をーー彼はこう悲嘆する。「もうひとつの世界を覗こうとした報いか」 と。実はこのシーン、ラストではないのだが、そこは書かないでおく。SFと言えば手塚漫画しか存在しなかった時代に、こんな突拍子もない漫画を本気で書いた白土三平氏に呆然とするばかりである。

余計なお世話だが、かつて白土氏のもと担当者から、「原稿料トッブの漫画家は誰だと思います?」と聞かれて、手塚治虫さん?と答えたことがある。彼は事も無げに笑って、白土先生と応じ、その金額に私は逆立ちしたくなった。

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貸本その4

さて、“四天王”の話である。発想の凄さーー突拍子の無さで行ったら白土三平、水木しげる、楳図かずお、小島剛夕の順になる。あくまでも貸本漫画時代の話である。水木氏もスゴいのだが、この人の佳作には結構パクリが多く、某SF作家が怒り狂っていると聞いたこともある。それでもスゴいものは余人の追従を許さない。
意外と発想的に地味なのは楳図氏で、この人の場合、誠に失礼な言い方をすると、さして面白くない話でも絵で騙してしまう。力業で捩じ伏せてしまうのだ。「ママがこわい」「おろち」「猫目小僧」その他を思い出すだけで震え上がる方も多いだろう。あういう作風は女性向きであり、まず読者の血を凍らせた初期傑作の多くが、女性誌の連載であったことがそれを証明する。ホラーとはある意味女性のものなのだ。
小島氏の場合は圧倒的に時代漫画が多く、スーパーナチュラルな作品となると情緒纏綿たる、これこそ「怪談」に仕上がる。何よりも読者を感嘆させるのは筆の流麗さで、数ある貸本作家の中でただ一人、貸本だけで生活できたという。その実力のほどは、今なお映画化テレビ化が止まらぬ「子連れ狼」を読めば一目瞭然であろう。
白土氏の作品はご存じ「忍者武芸帳影丸伝」「カムイ伝」その他の数多い忍者物に代表されるが、こちらはその持つ本質的な童話性から、むしろ「サスケ」や「ワタリ」「真田剣流」のような少年もので魅力が開花したように思える。
今では選集も数多く出版され貸本時代の全貌を知ることも可能だが、どうしても語りたい短編が二つある。あ、もう寝る時間だ。またね( ̄0 ̄)/。

ところでー外谷さんは今日も元気だろうか?

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外谷さんブデブデ日記(25)
2021 4/5(月)14:10

10:11起床。外谷さんいない。寂しいなあ。ハワイから転がって来ないかなあ。

貸本その3
前回は、浜慎二氏。今回はいばら美喜氏について少し。Wikipediaで調べると91歳でご存命とのこと。貸本作家の中でも最長命のお一人だろう。貸本を語るとき、この人を知らない奴はモグリである。そして、いばら美喜と言えば怪談に尽きる。
面白いことに、その絵は他の誰よりもさいとうたかお氏を連想させてくれるのだ。そして後年、さいとう氏が大手の少年誌に執筆した人犬や吸血鬼もの等より、遥かに怖い。恐ろしい。私がいかに嵌まったかわかるかね?
いばら氏の初見はどれで、いつだったかは覚えていないが、どれもこれも、思い出すだにぞっとする。醜い顔を変えるため、ある日にち産まれの男女の頭蓋骨を邪神にに捧げる女が、最後の一人でミスを犯し、自分の頭を捧げて「満願」と唱えるわ、復讐鬼にシンバル状の凶器で息子を殺された母親の生首が、シンバルを操ってそいつの首を落とすわ、少女を解体して貪り食らう二人組を、射ち落とした高圧電線で焼き殺したら、ネズミの化物だったわ、もう拍手するのも疲れるくらい。悲鳴も出ないわ。しかし、何と云っても忘れ難い傑作は『7000度の男』(タイトル不詳)だろう。ご推察の通り、心の友とも言える老人に溶鉱炉に突き落とされた若者が、その真意を探るべく鉄になって戻ってくる、私の知る限りいばら美喜ただ一本の正統派ヒーロー物なのだ。殺人の理由は、娘がギャングに誘拐されたためなのだが、なぜ若者が殺害されたかはわからず、老人も殺される。驚くべきはこの後。何とギャングの親玉は老人の娘で、老人殺害の理由は、「父さんみたいな古くさい人間が生きてても、仕様がないじゃない」ただそれだけ。私は呆然としただけだが、主人公は怒り狂い、弾丸の雨を物ともせず、ギャングどもを皆殺しにしてしまう。なにせ鉄ですから。娘の死に様は私の読んだ全漫画を通しての白眉。「これが7000度だ」と叫びざま娘に掴みかかるのだ。全身は焼け爛れーーどころの話ではなく、丸ごと蒸発してしまう。足の残りを手のひらで焼き潰してしまい、地面に触れると何も残らないイメージがスゴい。
かくて悪は滅び、ヒーローは何処へともなく去っていくーーだけなら変わった勧善懲悪ヒーロー物でおしまい、なのだが、この作品が忘れられないのは、この後に来るラストシーン故である。
深夜の街路に出たヒーローは、紙屑を漁るバタ屋のおばさんに出会う。そして、「おばさんいいものがあるよ」と力むや、みるみる溶けて一塊の鉄と化してしまう。振り返ってそれを見たおばさんは一言、永遠に忘れられない台詞を吐く。
「鉄の塊かい。せっかくだけど要らないよ。あたしゃ紙くず専門さ」
役目を果たしたヒーローは、もはや紙くずにも劣る存在なのである。これくらい残酷で感動的なヒーロー論の末尾を私は他に知らない。

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貸本(2)
こう見ると、やはり絵とストーリーの巧みな作家ばかりだが、劇画派がいないね。さいとうたかおや佐藤まさあきの作品も、貸本漫画のホープであった。ことに佐藤氏のGUNへの愛着と嗜好には眼を見張ったものである。これは同好の士が多かったらしく、ラストの1ページに質疑応答があって
「オートマチックの排莢孔が左右逆でしたね」
に対し、
「失礼しました。今回は直っているはずです」
と云うような真摯なやり取りがあって、吹き出したものである。佐藤氏が四天王に加わらなかったのは、やはり絵に問題があったからで、撃ち合いのシーンで、消音器付きのスターム・ルガー22口径が命中せず、こんな反動の少ない小口径で撃っているのに何故だ?と自問し、すぐ
「そうか、このマフラー(消音器)が命中率を低下させているんだ」
と気づいてすぐに外し、次々に敵を倒すシーン等ゾクゾクしたものである。
さいとうたかお氏の場合は単純に話が詰まらなかったからで、台風五郎のシリーズや、時おり見せる短編の切れ味には感嘆すべきものがあった。途中でSFに興味が移り、何といちばん厄介な宇宙物に挑んだときは、大いに期待したが、やはりさいとう氏向きのジャンルではなかった。記憶ではこの時の作品を元にして「少年マガジン」に発表したはずだが、やはり長続きしなかったようだ。
もう一人私の御贔屓があって、筆名は浜慎ニ。私好みのスッキリした筆捌きで、印象的な作品を残している。何と云ってもスゴいのは、西部劇怪談を書いた、恐らくただ一人の日本人作家だと云うことに尽きる。西部劇をコミック化した漫画家はは多いし、後に雑誌(多分、『冒険王』)の企画に応じて、何人もが“呪われた拳銃(デビル・ジョスレー)”をテーマにペンを走らせたが、浜氏ほどの作品は残せなかった。
私の度肝を抜いたのは、呪われたガンマンの生涯を描いた短編で、主人公が何と西部開拓史上に名高いジョニー・リンゴーなのである。今でこそ経歴も明らかだが、この当時のリンゴーと来たら、かの名高き「OK牧場の決闘」で、無法者クラントン一家に加わり、保安官ワイアット・アープやドク・ホリディと敵対したくらいしか分かっておらず、自殺というショッキングな最期も鮮烈で、しかもどこか幽明に閉ざされたところも日本人好み。西部劇ブームに乗って出された蘊蓄本には、「西部の獅子王」(アープのこと)と並んで「荒野のハムレット」というキャッチが謳い上げられていたくらいである。彼の生と死を取り上げたセンスにも脱帽物だが、史実を踏まえた展開にも驚嘆した。アープもドク・ホリディも出てくるし、ちゃんとOK牧場(正しくはコラル。しかも決闘はコラルの中ではなく、近くで行われた)の決闘に参加しなかったのも嬉しい。亡霊に囲まれた誕生から同じ状況の死まで、怪談らしさも満点、死ぬまでにも一度読みたいトップの傑作である。浜氏は大手の少年誌にも進出したが、本領の怪奇ものよりもアクション漫画が多く、あまり活躍できなかった。正統派の西部劇ですら難しいと云われるコミック界で、怪奇ものに挑んだ浜氏の心意気は大いに讃えられるべきだろう。近づいた者を、片端から取って食らう肖像画の話にも呆気に取られたものだ。
あまり報われたとは言えない浜氏への追憶から、長くなってしまったが、次はもう一人の怪談の天才=いばら美喜氏と四天王の忘れられた傑作に就いて。お好きな方はお楽しみに。

ところでー外谷さんは今日も元気だろうか?

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外谷さんブデブデ日記(24)
2021 4/4(日)

10時7分起床。外谷さんいない。寂しいなあ。ハワイの動物園は平和だろうか?他の動物を苛めたりしていないだろうか? 気になる。
発表する機会も中々来ないので、昔々の物語をこの日記に書いておくことにする。まとまりもない思いつき執筆である。気が向いたらどーぞ。

貸本のこと
知ってますよね、と言うか、名前くらい聞いたことがありますよね? 文字通り、何日幾らで本を貸し、返却する商売のことである。戦前にもあったらしいが、私の場合はもち戦後。小学校入学後の話になる。
貸本の中身は一般の書籍もあった(山田風太郎氏の「甲賀忍法帖」のハードカバーを見たのも貸本屋であった)が、目玉は貸本専門の出版社が出すコミックー漫画であった。これがスゴいのですよ。スキな子供が読んだら、当時の大手コミック誌(週刊誌では「少年マガジン」「少年サンデー」月刊誌だと「少年」「少年画報」「おもしろブック」「冒険王」等。この辺も色々あって面白いのだが、後に回そう)に載る作品なんぞ、お体裁だけの薄味コミックにしか思えなかった(こう断言するのは、私自身異論があるのだが、それも後回し)。
貸本屋はどこにでもあった。私の小学生当時、銚子市の人口は9万位。1万人に1館と云われる映画館も8館揃っていた(いちばん新しいのが大映で、開館日に出掛けたら万歳三唱させられた)。これは一般書店の数より多かったのではないか。そして貸本屋の数はさらに多かったのである。
貸本と貸本屋の事情は、水木しげる氏や佐藤まさあき氏らの回顧譚に詳しいが、貸本専門の出版社があって、大手から声のかからない作家連はそこを舞台に活動していた。後の大物を上げれば、小島剛夕、白土三平、楳図かずお、そして水木しげる。この4人が、私の「貸本漫画四天王」だが、彼らに匹敵する上手は何人もいた。
ーここでお昼ご飯だそうな。またね( ̄0 ̄)/

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外谷さんブデブデ日記(23)
2021 4/1(木) 22::10

相変わらず外谷さんいない。寂しいなあ?。
東宝の『キングコング対ゴジラ』(完全版)とやらを観る。何をもって完全版というか分からないが、少なくともこれは題名に偽りあり。初回の劇場公開版を観た方は、同意して貰えるだろう。
出だしで氷山に封じ込められたゴジラのために、アメリカの原潜が破壊されるのだが、このとき、艦の外壁が水圧で内側に裂けてくる。私は眼を剥いた。壁の外はグレーに着色されているが、厚みの部分がベニヤ丸出しではないか。誰も気がつかなかった訳はない。試写だって何回もやっているだろう。つまり、社長も宣伝部長も特撮監督も承知で「これで良し」だったのである。これはこう続く。「どうせジャリ相手だ、構やしねーさ」
私はこれで円谷特撮を、いや、日本の全特撮を見限った。技術のの問題ではない。精神のありようである。
ま、私の怒りと絶望などどうでもよく、映画はゴジラシリーズ最大の興業収益を挙げた。あー良かった良かった。
録画しておいた『バニシング』と『ボディカメラ』を観る。期待は実際の灯台守り3名の失踪実話をもとにした前者。ところがメッチャ詰まらない。今まで幾らも見たような金目当ての闘争を、むさ苦しいジェラルド・バトラー他の役者が、高級そうな心理ドラマの如くうっとり演じているだけ。あー鬱陶しい。観て損した。
この憂さを吹き飛ばす大健闘を見せてくれたのが後者。心に傷持つ警官が、警官ばかりが狙われる殺人事件に遭遇するのだが、最初からB級オカルト趣味全開。体裁はボリスアクションなのに、見ていくうちにオカルトにしかならないと思わせてしまう。まさしくその通りなのと、やっぱりなーの結末がB級の所以なのだが、これはこれで大正解。いやあ嬉しかった。

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その32

『救助』
式の手続きは完了。半月後には誰もが羨む日々が始まる。隣の家族はまだ手続き中だ。私は外へ出てすぐ、トイレだと彼に告げて戻り、花婿どのに濃厚なキスを送った。花嫁の怒号に、何をした?と尋ねる彼へ「人助けよ」

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その31

『一人ぼっちの』
無人の教室から担架が運ばれた。「老人の孤独死か」と学部長。助手は首をふった。「先生の講義には聴講生がおりました。女性です。亡くなった奥様か、人生で愛した誰かか。一人ではないーこれが先生の最後の講義でした」

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その30

『八つ当たり』
喫茶店の前で狙撃された。妻が身代わりになった。コーヒーを飲んでる間も射たれ、店員と客が代わって死んだ。みんな妻だ。抵抗軍よ恥を知れ。。変身ETが女なのも、俺がイケメンなのも、俺のせいじゃない。

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外谷さんブデブデ日記(22)
2021 3/25(木)

8:10起床。外谷さんいない。ハワイで幸せに暮らしているらしいが、時々動物園内をうろつき、勘違いした警備員に発砲され、慌てて逃げ帰るという。何となく不憫。

『1000字のラブスト』
その29

「立て看板」
息子がクチャクチャやってるものを見て、俺は一発かますと同時に、干物屋へ電話した。「おい、奥さん。あんたが死んだ亭主を愛してたことは知ってるが、表に飾るなよ。倅が小指をちぎってきちまったじゃねえか」

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その28

『沈黙は金』
女から電話。よくも騙したわね、みんな奥さんにバラしてやる。私は無言。イヤなら全財産頂戴な。それであたしは外国で暮らすのよ。また掛けるわ、ガチャン。パパどこ行くの?お隣だ。それと海外旅行にも行くぞ。

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その27

『すなお』
「お、お前、俺よりデブだそうじゃねえか」「見りゃあわかるでしょうが」「違うというから信用してたんだ」
「良い子ねえ、大好き」「サンキュー。ところで、隣で寝てる男は誰だ?」「甥っ子よ」「そうか、よろしくな」

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その26

『誤った称賛』
別れ方が上手いとよく言われる。確かに「別れてくれ」と言うだけだ。けど間違いだよ。ナイフで刺され、金槌で殴られ、亭主に猟銃で射たれ、臨終と診断されたのは百回以上だ。誰でも別れてくれるさ。

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その25

『わかるかね、明智くん?』
「ねえ、見たよ、あんたの彼。逞しいわね」
「あたしも見たわ、スッごいハンサム」
「あたしが見たのは、顔はゴリラ、でも黄金の名刺くれたわ。ねえ、何人キープしてんの?」
「一人切りよ。怪人二十面相の甥なの」

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その24

「見えない彼」
どうして顔を見せてくれないの?SNSの言葉は詩のように私の心を溶かすのに。なら私が付けてあげる。眠らずに書き上げた彼の顔を友人に見せた。「これ見りゃ安心して出て来るよ。でも、あんたホンとに男の趣味悪いよねー」

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その23

「願い」
二人の未来かね? 幸せになりたい? わたし水晶玉を見た。ばっと顔をあげて、地獄行きだよ!と喚いた。どんな顔をしていたのか、二人は車道へ逃げだして轢かれた。娘よ、仇は討ったよ。

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その22

「父の煩悶」
この頃、親父がおかしい。女でも出来たか?まさか結婚を約束しちまったとか?ある晩、寝てるところを起こされて、寝室へ連れていかれた。お袋が眠ってる。 呼んでる。父以外の名を喘ぐように。俺の名前じゃないか!

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外谷さんブデブデ日記(21)
3/23(水) 8:03起床

『1000字のラブスト』
その21

「思い入れ」
入社式の時から輝いて見えたわ。君にはいつも特別のお茶を煎れてあげる。専務も常務も部長も課長も飲んだことのない名品よ。文句つける奴もいるけど、気にしない。え?
「社長、やめてください」

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ところでーー外谷さんは今日も元気だろうか?

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その20

『作戦』
この人を家まで送って十年になる。結婚を約束したのは五年前だ。奥さんは拒否した。それだけじゃない。じきお宅だ。五年間門の前で待っている。奥さんなら、廃人程度にはねてやれる。でもお嬢ちゃんだ。

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その19

『タイミング』
猛吹雪の中を来たが、街まで後少しなのに、眠気に負けそうだ。車の中も冷えてきた。恋人にあばよと呟いた瞬間、殺した女房が隣から掴みかかってきた。眼が覚めたぜ! お蔭で街に着けた。出るならこういう風にな。

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外谷さんブデブデ日記(20)
2021 3/21(月)
8:13起床。外谷さんいない。コロナを除けば世界は同じことの繰り返しだ。やがてコロナも呑み込まれて行くだろう。外谷さん帰国しないかな。

『100字のラブスト』
その18

『待つ女』
三時間になるが、カウンターの女は動かない。愛を待つ無表情な美貌。溜め息が出る。おや、レジへ向かう。夜に消えた後ろ姿にグラスを上げた時、携帯が「あたしー。今日アウトー」店を出て、俺は看板を蹴倒した。

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その17

『さよなら、あなた』
この部屋に何年暮らしたか思い出せない。幸せ過ぎたから。掛け代えのない品は、あなたの記憶と一緒に運び出し、処分する。新しい日々への誠実さだ。ドアを閉じロック。おや、中でドアを叩く音が? 今の彼氏だ。